
竹林のすき間から、牛久沼を望む小径を
歩いていくと、樹齢400年のシイの木下に
「河童の碑」がありました。

根府川(小田原市)の自然石に刻まれた
日本画家 小川 芋銭(うせん)作
「河童図」の複製画と画賛。
沼畔の自然に、調和しています。

「誰 識 古 人 画 龍 心」
昔の人は、龍を描いて大自然の偉大さを表現したように、私は自然界に在るものの不思議から、大自然の法則「道」の探求に生涯を捧げているが、誰か、理解してくれる人がいるだろうか‥。
老荘思想が根底に、芋銭哲学の奥深さを感じます。
河童は「代名詞」!
水辺の生物や魑魅魍魎(ちみもうりょう)への関心が高く、
河童の絵を多く残したことから「河童の芋銭」として知られています。
伝説の中の河童は、軽妙で愛嬌ある性格。
自然界の不思議を語るシンボルとして、数々の作品に登場します。
画号「芋銭」とは?
自分の絵が「芋を買えるくらいの銭(お金)になれば‥」という思いが
込められているんだそうです。
今の時代ですと「家」を買えるくらいの‥となるのでしょうか。
松尾芭蕉・旅心への憧れ
仙境を求め、旅先で見つけた自然・人とのふれあい・歓喜を描き、
心情を俳句に詠んでいます。 俳人「牛里」号
「鷹鳴て蘭若の秋の晴に坐す」 丹波-石像寺にて
弱気を助け、強気を挫く!
「河童の碑」は、俳人 西山泊雲氏らによって建設されましたが、
功労者の名前は、刻まれていません。
真の善意を生きた芋銭氏の精神を、後世に引き継ぐ思いが
込められています。
ひ弱な身体での丁稚奉公、画家への志、修行によって人間性を
培い、老荘思想を学び、宇宙の法則に従って、自然体で
生きた人。
逸話の数々から、
多くの人に敬愛されていたことがうかがえます。

一枚の拓本から、
小川 芋銭氏(1868年~1938年)の足跡を辿り
「慶応」時代に思いを馳せました。
SNS全盛期を生きる現代人に
先達の人生観は、一石を投じてくれることと思います。